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2015.07.05

消えた東洋

これまで、『日米同盟の正体』、『戦後史の正体』、『小説外務省』と、これまで非常に良い仕事を重ねてきた孫崎享さんの新著『日米開戦の正体』を期待して読んだが期待外れだった。政府・軍部そしてマスコミと海外の側面だけしか見ておらず、もっと本質的な底流が抜け落ちて全体のバランスが完全に失われており、その時代の精神から乖離している印象だった。まるで日本人が意思決定に欠陥のある民族のように扱われている。

改めて、今の日本人の意識、更に今の中国や韓国にもおそらく戦前まで残っていた東洋文明という意識が世界史的に消滅してしまっているのかも、という印象を受けた。今や、西洋的価値観が世界を席巻しようとしている。

宮崎滔天、頭山満、内田良平、西郷隆盛、孫文、金玉均、周恩来、蒋介石・・・こうした人たちは、漢籍を共通の教養とし東洋の義という点で共鳴する素養があった。そして、一つの可能性として東洋の王道文化でEUの東洋版を100年先んじて建設する可能性があった。だが、小さな失敗が積み重なってまさかの大破局を迎えてしまい、今や西洋の牧場のような有様と成り果てた。

西洋的な世界観からは到底あの時代のアジアの真のダイナミズムを理解できないし、西洋に向かって主張しようとしていた理想も聞こえてこないだろう。

このまま東洋文明は世界史の実態から消え去って、元から無かったかのように扱われてしまうのだろうか? 西洋文明だけが正義を振りかざして生き残っていくのだろうか? それではあまりにも勿体ない。東洋文化の精華をもう一度見直してみたい。あの時代に果たせなかった夢を今一度見つめ直すことはできないだろうか、と思う。

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