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2014.12.25

「同時処理型」と「継次処理型」

少し時間があったので、たまたま読んでいた『Software Design』 2013年12月号で面白い記事を見つけた。

人間の脳内の情報処理回路には「同時処理型」と「継次処理型」の2種類があるというもので、「同時処理型」は映像で記憶し、「継次処理型」は時系列で記憶すると紹介されていた。同誌から、もう少し詳しい説明を引用すると、
  P.84
  同時処理型というのは「情報の全体像を把握してその中に細部
  を位置づけるのが得意」なタイプの回路であり、継次処理型と
  いうのは「情報の細部を順番に着実にたどっていくことが得意」
  なタイプの回路です。

丁度、日本人と英語圏のITエンジニアの違いについて思いを巡らせているタイミングでもあり、先日の右脳・左脳とも関係するのではないかと思った。

英語圏の人たちは、文章の羅列の説明をきちんと概念的に理解しそれをリピートできるが、概ね日本人は図で理解しようとする。なので、海外のエンジニアから文章で貰った情報を自分なりに理解して図でお客さんに説明するケースが多い。

2種類の型を右脳・左脳や言語などと結び付けて言及しているサイトは検索した範囲では見つからなかったが、おそらく日本語を母国語としている人は「同時処理型」になる傾向が強いのではないかと思う。アニメの発達もこの「同時処理型」優位と関係していると思う。

ITエンジニアのWorldWideのコミュニティにおいて、日本人は大抵あまりディスカッションの中心にはならず、後から裏でこそこそ交渉したりする。その点、ASEAN諸国および中国、インドは殆どギャップを感じずに方言英語でコミュニケーションできるのが一般的だ。これは英語語学力の問題として認識されるのが一般だが、ひょっとすると「同時処理型」の頭の使い方をする日本人が「継次処理型」でコミュニケーションしようとして出力低下を起こしている状態なのではないかと思った。

英語圏のエンジニアは非常にロジカルでコンセプチャルで、そうした論理性の骨格の上に構造物を現実化していく。従って、最初の完成度は日本人の常識からすれば呆れるほど低いのが普通なのだが、彼らの怖いところは、分析力がありブレずに突き進む意志の強さがあることと、水平分業に適したやり方で、大集団でブツ切りパーツをつなぎ合わせてものすごく短時間で実現する基盤みたいなものを共有していることだ。

多分、高度成長時代までは日本人は自分たちの持つ天才的な全体把握能力で英語圏の人たちが継次処理している間に一気に完成形を作り上げてしまう一致団結したチームプレイが組織として可能だったと思う。だが、今や欧米的感性の刺激ばかりを与えられ、自分たちの性質を欠点だと見なすように仕向けられているように思える。無理をして英語圏の亜流に甘んじようとしているのかもしれないが、おそらく右脳優位の大多数の民族の中では立ち位置を見失い、非寛容のバラバラなムードで戦わずして負け続けているのではないか?

もう一つ、少し論点が違ってくるが、欧米人はキーとなる概念を決してライバルには知らせず自己優位の確保のためにそれをキープし続け、あるいは別のものを争点と誤認させ、相手が勝負の実態を悟らないうちに絶対優位を特許・法律・条約・資本のような縛りで固定させるような、そういう戦い方を好む。このことを丹念に研究されたのが『オープン&クローズ戦略』だった。

これからの産業は、益々仮想化・ソフトウェア化が進むが、現状では日本にとって一方的な負けが続くことだろう。ルールは多国籍の英語圏で作られ、ただ唯々とあるいは周回遅れで標準化に追随するだけの落ちこぼれ集団になるだろう。それらに対して研究機関も政府もまるで眠っているように私企業たる現場に放任しているように見える。

少なくとも、直観的なクオリティのレベルの高さは今でも国際的にトップレベルにあるので、円高が一服したことを受けて、クオリティコントロールのポジションだけでも確保したりできないだろうか?

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Posted by: boom beach hack iphone | 2015.08.15 at 03:26 AM

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